連結初心者のための実務で使える連結決算

悩める連結決算担当者のために実務で使える連結決算知識を書いてきます。

【転職希望者向け】こういう企業の連結決算の難易度は高いです。

今回は連結決算の難易度が高い企業の特徴についてお話させていただきます。
有価証券報告書を見れば確認できる情報がほとんどなので特に転職を考えている方は希望する企業を以下のポイントで確認するとよいかと思います。

≪注意点≫
連結決算の難易度が高い=仕事が大変とは限りません。
連結決算の難易度が高い企業であっても連結決算担当者のスキル・人数が十分であれば仕事はそれほど大変にはならず、逆に連結決算の難易度が高くない企業であっても人材不足の企業の連結決算業務は大変です。
私の経験上、連結決算の難易度が高い企業ほど連結決算担当者の採用・育成に力を入れている傾向にあります。

①グループ会社が多い。
単純にグループ会社が多い企業ほどデータ収集、連結修正仕訳の本数が増える傾向にあるため難易度は高くなります。

②在外子会社が多い。
連結会計は在外子会社が入ると複雑になるため、難易度が高くなります。
逆に国内子会社のみの会社は難易度は低い傾向にあります。

③持分法適用会社が多い。
持分法で使用する科目は「投資有価証券」、「持分法による投資損益」がほとんどであるため、取引が集約されてしまい最終的な金額が正しいかの検証が大変になる傾向があります。

④持分比率が100%以外の連結子会社が多い。
「非支配株主持分」の計算が煩雑なため、難易度が高くなります。

M&Aや子会社の売却、組織再編が多い。
資本異動の連結修正仕訳は複雑かつ連結会計システムで自動化できないケースが多いため、あるべき連結修正仕訳を人力で作成することになる場合が多く難易度が高いです。
またグループ会社の勘定科目が統一できていないケースが多いため、単純合算に苦戦するケースも多いです。

IFRS適用会社
連結決算をIFRSだけでなく日本基準でも行っているケースが多く、単純計算で連結決算の業務量が倍になるのに加えてIFRS、日本基準両方の会計基準の理解が必要になるため、難易度が高いです。

⑦過去に大型の経営統合があった企業
連結決算を複数回行う必要がある場合があります。
例えばA社とB社が経営統合(株式移転)があった場合(A&Bホールディングスが誕生)一決算期に以下の通り連結決算が3回必要になる場合があります。
・A&Bホールディングスを親会社とした連結決算
・A社を親会社とした連結決算
・B社を親会社とした連結決算
例)みずほフィナンシャルグループ
子会社であるみずほ銀行みずほ信託銀行も連結決算を行っています。
https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/report/index.html

⑧間接所有のグループ会社が多い。
連結会計は間接所有があると複雑になるため、難易度が高くなります。

⑨金融業、商社
金融業は取引が複雑であること、商社はグループ会社間の取引が多い傾向にあることから難易度が高い傾向にあります。

連結決算の難易度が高い企業は覚えることが多く大変ですが、専門的なスキルを高めるにはもってこいです。
このような企業の連結決算の経験者は他社でも重宝されるので志望してみるのもいいかと思っています。
次回は連結決算が大変な企業の傾向についてお話させていただきます。