連結初心者のための実務で使える連結決算

悩める連結決算担当者のために実務で使える連結決算知識を書いてきます。

【連結決算ここが大変】簿記の連結会計と実務の連結決算との違い(その1:概要)

連結会計を勉強中の方へ
大半の方は教科書を読んでも専門学校の講師の説明を聞いても訳が分からないと感じられているのではないでしょうか。(私もその一人です。)

このブログをお読みになる方は連結決算の実務経験がある方ばかりでなく、簿記検定や税理士試験、会計士試験などで連結会計の勉強中の方も多いかと思います。
今回は簿記の連結会計と実務の連結決算との違いについてお話させていただきます。

私が実際に連結決算のコンサルティング業務を始めたときに机の上で学んだ連結会計とのギャップは主に以下のものでした。

①仕訳が難しい項目と実務で大変な項目は違う。
私が連結会計を勉強していたときに難しいと感じた項目の順番は以下の通りでした。(おそらく多くの方も似たような順番になると思います。)

 1.資本連結
 --------------------------------------------------------------(超えられない壁)
 2.個別修正(資産負債の評価差額、退職給付調整など)
 3.固定資産未実現消去
 4.棚卸未実現消去
 5.貸倒引当金の調整
 6.内部取引消去
 7.在外子会社の換算、単純合算

しかしながら個人的に実務で大変だと感じている項目の順番は以下の通りです。

 1.内部取引消去
 2.在外子会社の換算、単純合算
 3.個別修正(資産負債の評価差額、退職給付調整など)
 ---------------------------------------------------------------(超えられない壁)
 4.棚卸未実現消去
 ---------------------------------------------------------------(超えられない壁)
 5.資本連結
 6.固定資産未実現消去
 7.貸倒引当金の調整

このギャップはこの仕事を始めてから最初につまづいた点でした。
連結決算の実務経験が無い方にはなぜこの順番になるか不思議に思われるかもしれませんが、この理由については上記項目のリンク先の記事をご覧ください。

②連結決算で一番大変なのはグループ会社からのデータ収集。
過去の記事で連結決算の一連の流れについてお話させていただきました。

csb47.hatenablog.jp

簿記の連結会計ではグループ会社からのデータ収集が完了した状態から始まりますが、実務の連結決算で一番大変なのはその前段階のグループ会社からのデータ収集です。実際のお客様からの相談内容も半分以上がグループ会社からのデータ収集についてです。その理由についてはこちらをご覧ください。

csb47.hatenablog.jp

③ゴールは連結BS、PLではなく連結SS、連結CF、セグメント、注記。
簿記の連結会計では連結BS、PLの金額を算出すれば終わりですが、実務の連結会計ではその後に連結株主資本等変動計算書(連結SS)、連結キャッシュ・フロー計算書(連結CF)、セグメント情報、注記情報も作成する必要があります。
会計士試験の合格者であってもいきなりこれらを作成するのは難しいのではないでしょうか。

次回以降の記事で簿記の連結会計と実務の連結決算との違いについて項目ごとにお話させていただきます。
(次回の記事はこちら