連結初心者のための実務で使える連結決算

悩める連結決算担当者のために実務で使える連結決算知識を書いてきます。

勘定科目を細分化すると効率的にキャッシュ・フロー計算書が作成できます(その2:未払金)

今回はキャッシュ・フロー計算書(以下CF)を効率的に作成するための勘定科目体系の具体例(未払金)についてお話させていただきます。

各企業の状況によりますが、未払金は主に以下の通りに細分化するとCF作成の効率化となります。
 ・営業活動
 ・有形固定資産購入
 ・無形固定資産購入
 ・資産除去債務の履行
 ・有価証券購入
 ・投資有価証券購入
 ・配当

以下の数値例を見てみましょう。
例)
①X0期
以下の取引が発生した。(全て期末時点で未払)
 ・広告宣伝の依頼   100
 ・土地の購入     200
 ・ソフトウェアの購入 300
 ・資産除去債務の履行 400※履行差額はなし
 ・有価証券の購入   500
 ・投資有価証券の購入 600
 ・配当        700
Ⅰ.仕訳
 広告宣伝費  100/未払金(営業)     100
 土地     200/未払金(有形固定資産) 200
 ソフトウェア 300/未払金(無形固定資産) 300
 資産除去債務 400/未払金(資産除去債務) 400
 有価証券   500/未払金(有価証券)   500
 投資有価証券 600/未払金(投資有価証券) 600
 利益剰余金  700/未払金(配当)     700
Ⅱ.BS(抜粋)

  期首残高 期末残高 増減額
未払金(営業) 0 100 100
未払金(有形固定資産) 0 200 200
未払金(無形固定資産) 0 300 300
未払金(資産除去債務) 0 400 400
未払金(有価証券) 0 500 500
未払金(投資有価証券) 0 600 600
未払金(配当) 0 700 700

Ⅲ.CF(抜粋)

 税金等調整前当期純利益 -100
 未払金の増減額 100
小計 0
営業活動によるキャッシュ・フロー 0
投資活動によるキャッシュ・フロー 0
財務活動によるキャッシュ・フロー 0
現金及び現金同等物の増減額 0
・・・  

②X1期(①の翌期)
前期の未払金を全て現金で支払った。
Ⅰ.仕訳
 未払金(営業)     100/現金 100
 未払金(有形固定資産) 200/現金 200
 未払金(無形固定資産) 300/現金 300
 未払金(資産除去債務) 400/現金 400
 未払金(有価証券)   500/現金 500
 未払金(投資有価証券) 600/現金 600
 未払金(配当)     700/現金 700
Ⅱ.BS(抜粋)

  期首残高 期末残高 増減額
未払金(営業) 100 0 -100
未払金(有形固定資産) 200 0 -200
未払金(無形固定資産) 300 0 -300
未払金(資産除去債務) 400 0 -400
未払金(有価証券) 500 0 -500
未払金(投資有価証券) 600 0 -600
未払金(配当) 700 0 -700

Ⅲ.CF(抜粋)

 税金等調整前当期純利益 0
 未払金の増減額 -100
小計 -100
営業活動によるキャッシュ・フロー -100
 有形固定資産の取得による支出 -200
 無形固定資産の取得による支出 -300
 資産除去債務の履行による支出 -400
 有価証券の取得による支出 -500
 投資有価証券の取得による支出 -600
投資活動によるキャッシュ・フロー -2,000
 配当金の支払額 -700
財務活動によるキャッシュ・フロー -700
現金及び現金同等物の増加額 -2,800
・・・  

このように未払金を細分化することでBSの増減額を調整なしにCFに反映することができるようになります。
次回はその他の勘定科目の具体例についてお話させていただきます。
(次回の記事はこちら