連結初心者のための実務で使える連結決算

悩める連結決算担当者のために実務で使える連結決算知識を書いてきます。

勘定科目を細分化すると効率的にキャッシュ・フロー計算書が作成できます(その4:為替差損益)

今回はキャッシュ・フロー計算書(以下CF)を効率的に作成するための勘定科目体系の具体例(為替差損益)についてお話させていただきます。

 為替差損益の内訳は以下に分けられます。
 ①現金及び現金同等物の換算差額
 ②営業債権の換算差額
 ③営業外債権の換算差額
各企業の状況によりますが、為替差損益は主に以下の通りに細分化するとCF作成の効率化となります。
 ・為替差損(益)(現金及び現金同等物の換算差額)
 ・為替差損(益)(現金及び現金同等物の換算差額以外)

以下の数値例を見てみましょう。
例)
 期末に以下の為替差損益が発生した。
 ・現金  +100
 ・売掛金 +200
 ・貸付金 +400
Ⅰ.仕訳
 現金  100/為替差益(現金及び現金同等物の換算差額)  100
 売掛金 200/為替差益(現金及び現金同等物の換算差額以外)200
 貸付金 400/為替差益(現金及び現金同等物の換算差額以外)400
Ⅱ.BS、PL及び増減明細(抜粋)
・BS

  期首残高 期末残高 増減額
現金 1,000 1,100 100
売掛金 1,000 1,200 200
貸付金 1,000 1,400 400

・増減明細

  期首残高 換算による増減 期末残高
貸付金 1,000 400 1,400

・PL
為替差益(現金及び現金同等物の換算差額)  100
為替差益(現金及び現金同等物の換算差額以外)600
Ⅲ.CF(抜粋)

 税金等調整前当期純利益 700
 売上債権の増減額 -200
 為替差損益 -500
小計 0
営業活動によるキャッシュ・フロー 0
投資活動によるキャッシュ・フロー 0
財務活動によるキャッシュ・フロー 0
現金及び現金同等物の換算差額 100
現金及び現金同等物の増減額 100
・・・  

【補足】
CFの各項目の金額の根拠は以下の通りです。
・為替差損益※PLの為替差損益の金額(700)とは異なります。
 -100【 - PL:為替差益(現金及び現金同等物の換算差額)】
 -400【 - 増減明細:貸付金(換算による増減)】
・現金及び現金同等物の換算差額
  100【PL:為替差益(現金及び現金同等物の換算差額)】

為替差損益を細分化することでこのようにBSの増減及びPLを調整なしにCFに反映することができるようになります。
引き続き次回はその他の勘定科目の具体例についてお話させていただきます。
(次回の記事はこちら