連結キャッシュ・フロー計算書作成の実務(その3:新規連結(期末みなし))
今回は連結キャッシュ・フロー計算書(以下、連結CF計算書)作成のうち新規連結(期末みなし)についてお話させていただきます。新規連結があった場合、難易度が上がります。
※期首みなしの場合はこちらの記事をご参照ください。
以下の数値例を見てみましょう。
例)
当期末に新規子会社を800で取得した。
①子会社BS、PL
・子会社BS(抜粋)
期首残高 | 当期末残高 | 増減額 | |
---|---|---|---|
現金 | 300 | 500 | 200 |
売掛金 | 500 | 900 | 400 |
利益剰余金 | 0 | 600 | 600 |
・子会社PL
売上 600
当期純利益 600
②連結BS、連結PL
・連結BS(抜粋)
前期末残高 | 当期末残高 | 増減額 | |
---|---|---|---|
現金 | 800 | 500 | -300 |
売掛金 | 0 | 900 | 900 |
利益剰余金 | 0 | 0 | 0 |
・連結PL
売上 0
当期純利益 0
※期末で子会社は連結範囲に含まれるため子会社のPLは合算しない
③連結CF計算書(円)
※親会社は子会社取得以外の取引は無いものとする
税金等調整前当期純利益 | 0 |
売上債権の増減額(※1) | 0 |
小計 | 0 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 0 |
新規連結子会社株式取得に伴う支出(※2) |
-300 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | -300 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 0 |
現金及び現金同等物の増減額 | -300 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 800 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 500 |
※1{連結BSの増減額(900)ー 新規連結子会社の当期末残高(900)}×(-1)
※2 新規連結子会社の現金当期末残高(500)-新規連結子会社の取得金額(800)
ポイントとなるのは連結BSの売掛金の増減額(900)と連結CFの売上債権の増減額(0)に差異があることです。特に簡便法で連結CF計算書を作成するときに連結BSの売掛金の増減額からの調整が必要となり実務上の負担が大きくなることです。そのため新規連結が頻繁にある場合は原則法での連結CF計算書の作成を推奨します。