連結初心者のための実務で使える連結決算

悩める連結決算担当者のために実務で使える連結決算知識を書いてきます。

連結キャッシュ・フロー計算書作成の実務(その5:連結除外(期末みなし))

今回は連結キャッシュ・フロー計算書(以下、連結CF計算書)作成のうち新規連結(期末みなし)についてお話させていただきます。連結除外があった場合、難易度が上がります。

 ※期首みなしの場合はこちらの記事をご参照ください。

csb47.hatenablog.jp
以下の数値例を見てみましょう。

例)
当期末に子会社株式を1,400で売却した。
※売却損益は個別、連結ともにないものとする
①子会社BS、PL
・子会社BS(抜粋)

  期首残高 当期末残高 増減額
現金 300 500 200
売掛金 500 900 400
利益剰余金 0 600 600

・子会社PL
売上    600
当期純利益 600
②連結BS、連結PL
・連結BS(抜粋)

  前期末残高 当期末残高 増減額
現金 300 1,400 1.100
売掛金 500 0 -500
利益剰余金 0 600 600

・連結PL
売上    600
当期純利益 600
③連結CF計算書(円)
※親会社の子会社取得以外の取引は無いものとする

 税金等調整前当期純利益 600
 売上債権の増減額(※1) -400
小計 200
営業活動によるキャッシュ・フロー 200

 連結範囲の変更を伴う子会社株式の
 売却による収入(※2)

900
投資活動によるキャッシュ・フロー 900
財務活動によるキャッシュ・フロー 0
現金及び現金同等物の増減額 1,100
現金及び現金同等物の期首残高 300
現金及び現金同等物の期末残高 1,400

※1{連結BSの増減額(-500)ー 連結除外子会社の期末残高(900)}×(-1)
  子会社BSの増減額×(-1)と同じになる
※2 子会社株式の売却金額(1,400)ー 連結除外子会社の現金期末残高(500)

ポイントとなるのは連結BSの売掛金の増減額(-400)と連結CFの売上債権の増減額(-700)に差異があることです。特に簡便法で連結CF計算書を作成するときに連結BSの売掛金の増減額からの調整が必要となり実務上の負担が大きくなることです。そのため連結除外が頻繁にある場合は原則法での連結CF計算書の作成を推奨します。