連結初心者のための実務で使える連結決算

悩める連結決算担当者のために実務で使える連結決算知識を書いてきます。

連結会計システム導入プロジェクトを成功させるためには(その1:概要)

今回は連結会計システム導入プロジェクトを成功に導くためのポイントについてお話させていただきます。
連結会計システムは複雑であるため導入に失敗するケースも少なくありません。私が過去に経験した連結会計システム導入に失敗した会社は以下のような勘違いをしている傾向がありました。

連結会計システムを導入すればエクセル運用より全ての面で便利になる
 これまでエクセルで連結決算を行っていた会社によく見られる勘違いです。連結会計システムにはエクセルとの連携を売りとしているものが少なくないので連結会計システムをエクセル運用の延長線上と考えてしまい今までエクセルでできていたことが連結会計システムではできなくなることに不満を持ってしまう会社は少なくありません。
基本的に連結会計システムの導入を決断したらこれまでのエクセル運用は全て捨て去り新たに連結決算業務を構築する覚悟が必要です。

②新しい連結会計システムだと自動化できることが増える
 これは連結会計システムのリプレースをする会社によく見られる勘違いです。連結決算は会計基準に則って行われるため基本的な機能はどの連結会計システムでも大きな差異はありません。そのため現状の連結会計システムでできないことの多くは新しい連結会計システムでもできないです。そもそも現状の連結会計システムに不満を持っている箇所は単体会計システムなどの上流システムの不備や単にシステムを使いこなせていないだけの場合もよくあります。新しい連結会計システムを導入すると一から操作方法を覚えなおす必要があるため連結決算業務自体の見直しや現状の連結会計システムを再導入する方が効果的なケースもあります。

連結会計システムを導入するだけで業務を効率化できる
 これもよく見られる勘違いです。連結会計システムに限った話ではないですがシステムは操作方法をきちんと覚えた上で使いこなせてこそその効果を発揮します。特に連結会計システムはシステムの中でも操作の難易度はかなり高いため連結会計システムの操作を行う人のITスキルが低い場合、せっかく導入した連結会計システムが業務の効率化につながらない可能性が高いです。
一つの目安として単体会計システムの操作が満足に習熟できないなら連結会計システムの習熟はほぼ不可能です。

以上をまとめると連結会計システムの導入成功のポイントは連結会計システムを導入(リプレース)する理由を明確にすることと連結会計システムで何の業務をやるべきかを綿密に整理することです。連結会計システムは高額であるため導入に失敗すると会社に多大な損害が発生します。そのため連結会計システムの導入は事前の準備をきちんと進めていくことが重要です。

次回は連結会計システム導入の流れについてお話させていただきます。