【連結会計システム導入のポイント】連結会計システムかエクセルか(その6:連結CF計算書)
今回は連結会計システムで連結CF計算書を作成するためのポイントについてお話させていただきます。連結会計システムを導入している会社であっても連結CF計算書はエクセルで作成している会社は少なくありません。
その理由は大きく分けると以下の通りです。
①連結会計システムよりエクセルで作成した方が効率的
あくまで連結会計システムは連結決算作業の効率化を目的としているのでこのような考えも悪くはないです。実際、私が連結会計システムの導入を行っていたときもこの理由で連結CF計算書はあえてシステム化の対象から外していたケースもありました。
②連結会計システムで連結CF計算書の使い方がよく分からない
これが最も多い理由です。連結会計システムの操作は全体的に複雑ですが、その中でも連結CF計算書作成機能はさらに複雑です。実際に連結会計システムで連結会計システムで作成しようとしてみたものの挫折してエクセルに戻したお客様も少なくありませんでした。
連結会計システムで連結CF計算書を作成するメリットは以下の通りです。
≪メリット≫
・在外子会社の換算調整、連結範囲変更時の調整が自動で計算してくれる
・B/S、P/Lの金額に修正が入った場合にも自動で再計算してくれる
・連結子会社が多くても作業負荷があまり増えない
【補足】
※在外子会社の換算調整及び連結範囲変更時の調整の会計処理方法については以下の記事をご参照ください。
(在外子会社の換算調整)
csb47.hatenablog.jp(連結範囲変更時の調整)
csb47.hatenablog.jp≪デメリット≫
・導入費用がかかる
・操作方法(特にCF関連のマスタ設定)が複雑なので属人化しやすい
・連結会計システムでの連結CF計算書作成ロジックが理解できないと出力された帳票の金額の根拠が分からずブラックボックス化してしまう
・勘定科目を上手く細分化しないと手修正が多く発生する
【補足】
※連結会計システムの導入にはライセンス費用、保守費用の他に導入費用がかかります。このうち導入費用については連結会計システムでの自動化したい範囲によって変わるので連結CF計算書作成をシステム化した場合は導入費用が増加します。
※勘定科目細分化のポイントについては以下の記事をご参照ください。
逆にエクセルで作成した場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
≪メリット≫
・導入費用がかからない
・エクセルのなので操作になじみがある
・エクセルなので例外的な処理も柔軟に対応しやすい
≪デメリット≫
・在外子会社の換算調整、連結範囲の変更時調整が大変
・B/S、P/Lの金額に修正が入った場合に連結CF計算書も手作業で修正する必要がある
・例外的な処理が多くなると会計処理の誤りが増えやすい
・膨大なエクセルとなりがちなのでブラックボックス化、属人化しやすい
連結会計システムで効率的に連結CF計算書を作成するには連結会計システムの複雑な仕組みを理解する必要があるためかなり難易度が高いです。また勘定科目を連結CF計算書が作成しやすい体系に整備しないとシステム化の効果が薄くなります。新規に連結会計システムの導入を検討をしているお客様はまずは連結精算表作成までをシステム化して運用が落ち着いた段階で連結CF計算書作成をシステム化するのも一つの方法です。
上記を踏まえて以下の特徴に当てはまる会社は連結会計システムよりエクセルで作成した方が効率的なケースが多いです。
・在外子会社がない
・連結子会社が少ない
・連結範囲の変更が少ない
・連結決算担当者のスキルに不安がある
連結会計システムで連結CF計算書を作成を検討している会社はこれらのことを考慮して判断してみてはいかがでしょうか。